以前、「長期投資はリスク低減につながらない」という記事を書きました。
投資期間が長くなればなるほど、運用成績は収束に向かいますが、資産額のバラツキは大きくなります。
僕が投資について勉強したときに、とても参考になったなと思う本は、バートン・マルキール著『ウォール街のランダムウォーカー』です。
この本には、「長期で投資すれば、年平均のリターンは収束していく」というグラフが載っています。非常に参考になるグラフでした。
とても参考になるグラフだったので、僕のほうでも、実際に、投資期間とリターンの関係をグラフを作ってみたいなと思いました。
色々と数値をいじって考察してみたいので、実際の株価データは使わずに、月間期待収益率が0.6%(σ6.0%)のランダムデータを1000個作って、上位10%・上位50%・上位90%をプロットしてみます↓
たしかに、投資期間が長くなればなるほど、ゆるやかに運用成績は収束していきますね(そして、元本割れの確率も減ります)。
ただ、以前も書きましたが、個人の投資においては「運用成績は何%?」ということよりも、「将来の資産額はいくらか?」とか「運用期間中に資金が尽きる確率が無視できるほど低いか?」とういうほうが気になると思います。
たとえば、100万円を投資した場合、運用期間が長くなると、資産額のバラツキはどのように分布するのでしょうか? 上の運用成績を元に算出してみます。
投資期間が1年だと、まあ大雑把にいって、100万円を投資すると、81万円〜139万円くらいの範囲に収まるようです。そして、投資期間が長くなるほど、バラツキは拡大します。
リスクはリターンを蝕む
ここで、今回の本題に入りたいと思います。
月間期待収益率を0.6%のまま固定して、リスクをσ6.0%からσ9.0%に変えて、長期投資におけるリスクとリターンの関係を確認してみます。
月間期待収益率を0.6%(σ9.0%)のランダムデータを1000個作って、上位10%・上位50%・上位90%をプロットしてみます↓
σ6.0%とσ9.0%では、だいぶ雰囲気が変わりましたね。では、先ほどと同じように、上の運用成績を元に100万円を投資した場合の評価額の分布も確認します↓
上位50%の評価額に着目して、σ6.0%とσ9.0%を比較すると、リスクがリターンを蝕む様子がわかると思います。
長期投資において、リスクは敵ですね。