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インデックス投資が好きです/取得資格:宅建・FP2級/1988年生まれ/エンジニア/2050年3月末(61歳)でセミリタイア予定

一般NISA vs つみたてNISA

ふと気になったのですが、年間投資額が60万円程度の場合、一般NISAとつみたてNISAどちらが有利なのでしょうか? シミュレーションしてみました。

 

【問題】年始の目標として、今年からNISA投資を始めようとしているAさんがいます。現在、手元に余裕資金が150万円あり、NISAを使って投資する予定です。2年目以降は、毎年、年初に60万円ずつ投資して、20年後に運用を終了します。一般NISAを選択した場合とつみたてNISAを選択した場合のシミュレーションを作成してください。条件として、一般NISAは、年間120万円×5年有効で、ロールオーバー1回まで可能、NISA制度は恒久化されている仮定します。

 

【解答】

まずは、シミュレーションの前提条件を仮定します。1年目年初の基準価額が10,000円の投資信託(年利5%)を買い続けるとします。NISA口座を優先的に使って、余力は特定口座を使います。

 

つみたてNISAの場合

まずは、単純なつみたてNISAからシミュレーションしてみます。1年目は、余裕資金が150万円あるので、NISA口座で40万円分の投資信託を購入して、残りの110万円は特定口座で投資信託で購入します(実際には、つみたてNISAは一括購入ではなく、積立する必要がありますが、ここでは無視します)。

 

すると、1年目の年末には、NISA口座で購入した投資信託の評価額が40万円から5%上昇して、42万円になります。特定口座で購入した投資信託の評価額は110万円から115.5万円になります。

 

2年目は、年初に、余裕資金が60万あるので、NISA口座で40万円分の投資信託を購入して、残りの20万円は、特定口座で投資信託を購入します。

 

特定口座は、売却時に譲渡益×20%の所得税がかかるので、譲渡益が計算できるように、年度ごとに特定口座で購入した投資信託の取得単価を算出しておきます↓

運用20年目の年末にNISA口座と特定口座の投資信託を全額売却します。特定口座に関しては、譲渡益×20%の所得税を考慮すると、手元に残る現金は、約2,233万円です。

 

「運用1年目末から運用19年年目末までのNISA口座評価額・特定口座評価額」と「運用20年目末の現金保有額」をプロットすると下図になります。

計算が単純なので、綺麗なグラフになりました。

 

一般NISAの場合

一般NISAの場合は計算が複雑です!

 

1年目は、余裕資金が150万円あるので、NISA口座で120万円分の投資信託を購入して、残りの30万円は特定口座で投資信託を購入します。

 

2年目は年初に60万円投資しますが、NISA枠の上限120万円を使い切ったほうが投資効率が良いです(投資信託の基準価額は年5%上昇するので、特定口座で購入した投資信託を放置すると、売却時に課税される所得税が増えていきます)。

 

そこで、翌年のNISA枠を使い切れるように、年末に必要な額の特定口座の投資信託を売却して、できるだけNISA枠を使い切れるような投資をします。年末に売却する特定口座の計算は、年末にロールオーバーする金額も考慮する必要があります。たとえば、年末に55万円ロールオーバーする場合、翌年のNISA枠は120万円-55万円=65万円です。そして、65万円のNISA枠から年初に60万円を投資すると、翌年のNISA枠は5万円使い切れずに余ってしまいます。それだと、投資効率が悪いので、あらかじめ年末に特定口座の投資信託を5万円分売却しておきます。5万円分の投資信託を売却するきには、所得税がかかる点にも注意して計算する必要があります。さらに、売却した分、保有する投資信託の口数が減るので、翌年以降に特定口座で投資信託を買うときの取得単価の計算にも影響します。かなり計算が複雑ですが、落ち着いてExcelで計算していきます。

 

たとえば、1年目で計算すると、年初に30万円で買った投資信託は、年利5%で上昇するので、年末には31.5万円になります。この31.5万円を売却すると、譲渡益1.5万円×20%で、所得税が0.3万円かかります。よって、2年目の年初にNISA枠で投資できる金額は、1年目末に手元に残った31.2万円と余裕資金60万円をあわせた91.2万円です。ロールオーバーするときは、もう少し複雑になります。

 

ロールオーバーの大雑把なイメージは下図です。下図のイメージ図では、NISA口座の年末評価額を万単位で表示しています。

たとえば、1年目に投資したNISA口座の120万円は、1年目末に126万円になります。5年目末には153万円になってロールオーバーして、10年目に195万円になって特定口座へ移管されます。

 

ロールオーバーした金額が120万円を超えた翌年は、NISA枠が0円になります。たとえば、運用6年目は、5年目末に153万円ロールオーバーするので、年始のNISA枠が0円です。運用7年目は、6年目末に約116万円ロールオーバーするので、年始のNISA枠が約4万円です。

 

また、売却時の所得税を計算するためには、取得単価を求めておく必要があります。たとえば、10年目末の投資信託の基準価額は16,289円と算出されるので、「11年目年初に、10年目末で移管された195万円分の投資信託を基準価額16,289円で購入した」とみなす点には注意です。

 

NISA口座から特定口座へ移管された額、年初に購入した投資信託、年末に売却した投資信託を考慮して、各年度の年初取得単価を求めていきます。計算が複雑ですが、Excelでゴリゴリ計算していきます↓

運用2年目〜運用5年目は、特定口座を使用しないので、特定口座の取得単価は0円です。また、つみたてNISAと比べると、頻繁に売却するので、後半の取得単価は高めです(取得単価が高いと、売却時の所得税が低く計算されます)。

 

運用20年目の年末にNISA口座と特定口座の投資信託を全額売却します。特定口座に関しては、譲渡益×20%の所得税を考慮すると、手元に残る現金は、約2,225万円です。

 

「運用1年目末から運用19年年目末までのNISA口座評価額・特定口座評価額」と「運用20年目末の現金保有額」をプロットすると下図になります。

運用成績にもよりますが、ロールオーバーは1回までなので、11年目以降は、NISA枠が横ばいですね。

 

今回のシミュレーションだと、つみたてNISAのほうが有利という結果になりました。

 

ちなみに、運用20年目末に全売却すると、つみたてNISAのほうが有利ですが、運用n年目で全売却した場合の手元に残るお金は下図になりました↓

毎年の入金額が60万円の場合、一般NISAとつみたてNISAの損益は同じくらいですね。

 

当然ながら、毎年の入金額や年利などが変動すると、一般NISAとつみたてNISAどちらが有利かというのも変動します。

 

年利5%の投資信託を1年目から入金し続ける場合、つみたてNISAの勝ちになる年数は下図のようになります。グラフの上の領域が「つみたてNISAの勝ち」です。長期で投資し続けると、つみたてNISAのほうが優位になります。

 

当たり前ですが、年間の入金額が〜40万円まで場合は、つみたてNISA一択ですね。40万円を超えてくると、一般NISAとつみたてNISAの判断が難しいです。

 

投資信託の年利を5%→10%に変更すると、下図になります。

 

 

ここからは、独り言。

 

結局、一般NISAとつみたてNISA、どうやって使い分ければ良いの? に関して細かい計算は省略して大雑把にいうと、最初の数年は生活防衛資金(一般的には数カ月分の生活費とする)が小さいために、生活防衛資金に手を付ける可能性があります。そのため、最初の数年は一般NISAで運用したほうが良いと思います。そして、資産運用額が増えてきたら、つみたてNISAに切り替えるのが最適解だと思います。