ランダムウォークのシミュレーションしてみました。
基準価額が17,000円の投資信託が2つあるとします。1つ目の投資信託Aは、「毎日コインを投げて、表が出れば、基準価額+68円あがる」という設定です。2つ目の投資信託Bは、「毎日コインを投げて、表が出れば、基準価額+0.4%あがる」という設定です。逆に、コインが裏だったら、投資信託Aは基準価額が-68円さがって、投資信託Bは基準価額が-0.4%とします。
つまり、毎日一定の変動幅で価額が変動(投資信託A)と毎日一定の変動率で価額が変動(投資信託B)があるとして、価額推移はどうなるのかシミュレーションしたいと思います。
一定の変動幅がランダムに上下するということは、基準価額がプラスになるパワーとマイナスになるパワーが均衡するので、一定期間後の基準価額は平均を中心に正規分布すると思います。
その一方で、一定の変動率がランダムに上下する場合、プラスとマイナスのパワーは均衡しません。たとえば、コインが表と裏が1回ずつ出た場合、1.004×0.996なので、元の価額に戻らず、1未満になります。つまり、一部の勝ち組が指数関数的に勝って、中央値はやや負ける分布が広がるわけですから、一定期間後の基準価額は対数正規分布になると思います。
まずは、コインを100回投げてみるシミュレーションを100回やりました。
得られたコインの裏表データを元に、コインが表なら基準価額は+68円、コインが裏なら-68円をプロットすると↓
上と同じコインの裏表データを使って、表なら基準価額は前日比+0.4%、コインが裏なら前日比-0.4%にすると↓
あ、ほとんど変わらないですね。2枚の画像を切り替えながらよく観察すると、わずかな違いがありますが、コインを100回投げた程度だと誤差の範囲ですね。
コインを10万回くらい投げてみたかったのですが、Excelが重くてフリーズしたので、コインを1,000回投げるのを100回やってみました。
(僕は、R言語とかPythonを少しだけ使ったことがあるのですが、勉強不足でほとんど使えないです。いつもExcelのマクロで計算しています。いつかプログラミングの勉強したいなと思うのですが…)
コインが表なら基準価額は+68円、コインが裏なら-68円↓
コインが表なら前日比+0.4%、コインが裏なら前日比-0.4%↓
1000回コインを投げると、価額分布の形に違いが現れてきました。
1,000日後の価額分布をヒストグラムにしてみると、
もう少し綺麗な正規分布になると思ったのですが…
そして、毎日の変動率が±0.4%の場合は↓
一応は対数正規分布になっているのでしょうか…?
2つのヒストグラムをまとめると↓
最後に、確率分布がどのように広がるのかを確認してみます。
毎日+68円と毎日-68円の場合、2つの価額差は下図のように広がっていきます。
つまり、毎日一定の幅でランダムウォークする場合の価額分布は、灰色の線で囲まれた領域のように広がっていきます。
一方で、毎日+0.4%と毎日-0.4%の場合、2つの価額差は下図のように広がっていきます。
つまり、毎日一定の率でランダムウォークする場合の価額分布は、オレンジの線で囲まれた領域のように広がっていくわけです。
2つのグラフを重ねると下図になります。
実際の株価分布などもオレンジ色の対数正規分布になると言われています。
正規分布だと、平均を中心に、株価が+200%になる確率と-200%になる確率は等しいですが、実際の株価は+200%になる確率のほうが高いですよね。期間が短ければ、株価の分布は正規分布と仮定したほうが計算しやすいですが、正規分布を複利で積み重ねると、徐々に対数正規分布が現れてきます。